重要事項説明書とは不動産取引を行うか否かを判断するための重要な内容が記載された書面であり、宅地建物取引主任者が契約当事者(賃貸借の場合は借主のみ)に交付するものです。
不動産は個別性の強い商品(まったく同じものがない)であり、また権利関係が複雑(所有権、借地権、賃借権、抵当権等)であること、さらに不動産に関する法律(都市計画法、建築基準法等)が多岐にわたるという特性を持っています。
そのため契約当事者が判断を誤らないように宅建業者に契約締結前に重要事項説明書を交付する制度が定められています。
耐震診断記録の有無について 2013年03月11日(月)
宅建業者は賃貸借する建物についてこの耐震診断を行ったかどうかを重要事項説明時に借主に伝える義務があります。
地震の多い日本では建物にとって地震に対する抵抗力である耐震性は非常に重要です。
2005年に起きた耐震強度偽装問題の発覚から、建物の強度に関する関心が高まっています。
但し、耐震診断に係る重要事項説明は、後述する「旧耐震基準」に基づき建築された建物がその対象となります。
具体的には、建築確認済証の交付年月日が昭和56年3月31日以前の建物が該当します。
建築確認済証等がない場合には、建物の表題登記をもとに判断され、居住用建物で区分所有でないものは表題登記日が昭和56年12月31日以前の建物、区分所有建物や事業用建物は表題登記日が昭和58年5月31日以前のものが対象となります。(例えばS57年12月築であっても建築確認がS56年3月31日以前であれば旧耐震基準です)
新耐震と旧耐震
建物の耐震強度は建築基準法で定められています。この基準は大きな地震が起きるたび改定されており、現在の耐震基準(新耐震基準)は昭和56年(1981年)に施行されました。地震大国である日本のこの新耐震基準は世界でも最高水準といわれており、これ以前のものを旧耐震基準といいます。
新耐震基準を満たしていれば、震度5強程度の地震でもほとんど崩壊しないといわれています。
(震度7の阪神淡路大震災では旧耐震の建物は約50%が大規模な補修が必要になるほどの甚大な被害を受けたのに対し、新耐震のものは4分の3が無被害か軽微の損傷であったことから新耐震の性能の高さが実証されました。)
木造住宅の耐震性について
よく木造住宅の耐震強度についての質問をいただきますが、3階建を除く木造住宅は構造計算を求められていないため建築の強度は建築士の設計に委ねられています。そのため正確な把握が必要な場合は専門家による耐震診断が必要になります。仲介業者の立場からは、間違っても安易に「大丈夫です」と根拠のない答えは言えませんね。- [重要事項説明書の記載事項]
- [耐震診断]
アスベスト(石綿)使用調査の有無について 2013年03月11日(月)
重要事項説明書では何を説明する?
アスベスト(石綿)使用調査の有無は重要事項説明書記載事項の一つです。
宅建業者は賃貸借する建物についてこのアスベストの使用調査を行ったかどうかを重要事項説明時に借主に伝える義務があります。
湿式石綿含有吹付け材が使用されなくなった1989年以降の建物であれば、およそアスベストは使用されていないと推測できます。
なお、貸主又は所有者が石綿使用調査をするかどうかは任意ですので、重要事項説明書にはその記録があるかないかを記載します。
石綿が使用されているからといって必ずしも危険というわけではありません。
アスベストは建物解体の際などで飛散するに可能性がある場合にリスクがあるもので、アスベストが使われていても飛散しないように措置がなされている又は飛散するおそれの無い建材であれば人が吸引するおそれはないかと思われます。
アスベストとは
アスベストとは石綿(せきめん、いしわた)と呼ばれる天然の鉱物繊維です。安価でありながら、耐久性、耐熱性等において優れた特性を持っていたため、以前は建築資材として多く使われていました。しかし現在では石綿繊維を大量に吸った場合に人体に悪影響(発がん性がある)を与えることが判明したため、段階的に使用が制限されています。アスベストの特性
アスベストは紡績繊維性(他の繊維より細い)、耐熱性(500度まで安定)、抗張力(ピアノ線より強い)、耐薬品性(酸、アルカリへの抵抗力が高い)、保温性、耐久性、絶縁性、耐摩擦性、防音性などに優れた特性を持っています。アスベストの危険性
アスベストは繊維が細かく軽いため、飛散しやすい。人がアスベストを吸引すると肺に残り、数十年の潜伏期間を経て肺がんなどを発病するといわれています。飛散の可能性は使われ方によって違いがあります。
使用方法 | 主な使用箇所 | 飛散可能性 |
吹き付けアスベスト | 鉄骨の柱、梁、機械室、駐車場の天井など | 高い |
保温材、耐火被覆材 | 設備のダクトの継ぎ目、鉄骨の柱、梁など | 通常は低いが取り扱いによっては高い |
成型板(石綿スレート等) | 屋根、外壁、階段・通路の天井、仕切り壁など | 低い、建物解体時には注意 |
アスベスト対策
アスベストが使用された建物(吹き付けアスベスト)の場合の処理方法は除去、封じ込め、囲い込みの3つの方法があります。
・除去:全部除去する。
・封じ込め:固定材で表面に保護膜を作るか結合力を強化して飛散を防止する。
・囲い込み:吹き付けアスベストを非アスベスト材で覆う
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